丁子紅子画集『ここに在る。』

日本画家、丁子紅子(Choji Beniko)さんの画集を購入しました。

「感情の入れこむ隙間を描き、いつかそこにあった心が少しでも確かなものになるように。

映し身となるヒトガタを描いています。」(HP/画集より)


純白でアンニュイな表情に見る側のほうでいろいろと読み込んでいきます。すると、一見同じ顔をしている女性の顔が皆違ったように見えてきます。

完璧な美女のハコ(ヒトガタ)への心の搭載が私たち見る側に委ねられ、見ながら考えるほどに真っ白な肌の血色が良くなっていくように思える不思議な女性たち。赤白黒といった鮮烈なカラーがだんだんマイルドに、もっと中間色豊かな温かみのある人間へとそのうち変わっていきます。

たぶん、時間が経って見直したり、あるいは日々私の方で色々考えや思いが変わっていくたびにこの絵をみると、それごとに違った表情が浮かんでくるのだと思います。だから私にとっては、私が死ぬまでこの絵は日々新鮮な姿を見せててくれるし、この絵からしてみれば、人間がいるかぎり永遠に新鮮な輝きを失わないのだと思います。

ある意味未完成のこの絵ですが、それゆえに色褪せない永遠に続く魅力を感じます。

丁子紅子さんは年が近いので、すごく応援しています。素晴らしい方を見つけました。


こういう、「隙間」を用意してくれている作品が好きです。大好きなアントン・ブルックナーもわりとそういう作曲家だと思っています。

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