My Treasures

私の好きなCDなどをここに書き記します。随時編集します。

Beethoven:Symphony No. 9 

- Human Misery - Human Love

ケント・ナガノ(指揮)

ヤン・マルテル(朗読)

エリン・ウォール(S)

藤村美穂子(MS)

サイモン・オニール(T)

ミハイル・ペトレンコ(B)

モントリオール交響楽団合唱団

ターフェルムジーク室内合唱団

モントリオール交響楽団

2011年9月7日、9日&10日

『人類の悲哀と人間愛』と名付けられたアルバム。総じて活き活きとしたテンポや打撃が支配する中、嫋やかなオケと、ターフェルムジーク室内合唱団が助けているのか不思議と奥行きのある合唱が見事に調和して織りなすハーモニー。4楽章はまさしく人間愛を語っています。私は270枚を超える第九音源を集めていますがコレがいちばん好きです。


Mozart:Requiem

レナード・バーンスタイン(指揮)

マリー・マクローリン(S1)

マリア・ユーイング(S2)

ジェリー・ハドレー(T)

コルネリウス・ハウプトマン(B)

バイエルン放送合唱団

バイエルン放送交響楽団 

1988年

バーンスタインの亡き奥さんへ送る渾身の演奏。今時めったに見かけない重厚長大な響きで、ラクリモサなんてそのまま止まるか溶けるかしてしまいそう。モーツァルトのレクイエムの体を借りてバーンスタイン本人が哀悼の気持ちを語ってくるような凄みがある。おどろおどろしいというか生々しいというか、とにかく演奏者の気持ちが重くて参ってしまう。


ブルックナー:交響曲第5番 

マリオ・ヴェンツァーゴ(指揮)

タピオラ・シンフォニエッタ

2014年

ブルックナーの第5番は大好きなシンフォニーの一つですが、ベストは?と訊かれると意外と答えに窮します。しかしその時、この一枚は必ず頭に浮かびます。室内オケとノンビブラートのお陰で異様に見通しがよく、シャルクでもないのに60分を切る快速テンポでとても爽やかです。見上げるような大聖堂の如き巨大さが期待されるこの曲は、このように細部まで造形を見届けられるミニチュアになっても、相変わらず魅力的です。


平沢進:救済の技法

TOWN-0 PHASE-5

MOON TIME

庭師KING 

GHOST BRIDGE

ナーシサス次元から来た人

万象の奇夜

MOTHER

橋大工

救済の技法

WORLD CELL

今敏作品から平沢ワールドへ入信。個人的にはパプリカで「イッツアショータイム!」から始まるParadeの狂気っぷりが大好き。平沢進を聴きながら、毎日、山手線の混雑と品川駅の人の流れに身を任せています。平沢進の曲の歌詞はいずれも難解ですが、何度も聴いているとどんどん癖になる魔力、世界観に憧れて空想や解釈が捗ること、ブルックナーの愛好者が惹きつけられないわけがありません。


伊福部昭「協奏四題」熱狂ライヴ

オーケストラとマリンバのための「ラウダ・コンチェルタータ」(1979)

ヴァイオリンと管弦楽のための協奏風狂詩曲(1948/71) 

二十絃箏と管絃楽のための「交響的エグログ」(1982)

ピアノとオーケストラのための「リトミカ・オスティナータ」(1961)

マリンバ:高田みどり

ヴァイオリン:山根一仁

二十五絃箏:野坂操壽

ピアノ:山田令子

井上道義(指揮)

東京交響楽団

録音:2016年7月10日

土俗的な響きがどれも魅力。まるで生き物の心臓の鼓動のような、そんな血生臭くときに泥臭い野性味が、伊福部昭の好きな所。ラウダ・コンチェルタータやリトミカ・オスティナータはそんなイメージに近くて、聴いていると活力が湧いてくる。でも一番好きなのはエグログ。アメリカ滞在中ずっと聴いていたきがする。どこか懐かしく、しかし斬新に、力強く箏をかき鳴らす響きが染みました。いずれのコンチェルトも、奏者の顔や熱が伝わってくる、ホットなアルバムです。


水村美苗『続明暗』(ちくま文庫、2009)

死去により未完となった夏目漱石『明暗』の続編。『明暗』は、三人称視点から登場人物の会話を眺める形が貫かれ、そこから各々の心情がしつこすぎるくらいにじみ出てくる。水村美苗は夏目漱石の文体を見事に再現しながら、にじみ出る心情を引き継ぎ発展させて、見たくて仕方なかったクライマックスをちゃんとみせてくれる。自己本位と則天去私が火花をちらしているような苛烈さがあり、私は『明暗』から引き続き徹夜で一気読みしてしまいました。止まらなくて。